こんにちは!biwo-campです。
キャンプが最高に気持ちいい季節になりましたね!
冬と違って装備がぐっと減るので、準備や片付けも少し楽になるのが嬉しいところ。その一方で、冬の間、寒さから守ってくれた頼れるギアたちはお休みシーズンに入ります。次の冬も万全の状態で活躍してもらうため、今のうちにしっかりメンテナンスしてあげたいですよね。
我が家には、2018年から愛用しているスノーピークの石油ストーブ「タクード」があります。冬キャンプに欠かせない相棒なのですが、どうやらお疲れ気味…?最近、火付きが悪かったり、火力が弱くなったように感じていました。
「これは、芯交換が必要かも!」と思い、今回はメーカーに頼らず、自分たちでメンテナンスしてみることに。この記事では、その詳しい手順をご紹介します!
ちなみに、細かい分解作業や灯油を扱うのは正直ちょっと苦手でして…。というわけで、実際の作業は夫にお願いし、私は隣でマニュアルを読み上げながら指示を出す『現場監督』に徹しました。
しん交換のタイミング
スノーピークの『タクード』は、製品カテゴリとしては石油コンロですが、その構造は一般的な石油ストーブと基本的に同じです。そして、暖かさを生み出す心臓部である『芯:しん』は消耗品となります。

「芯」は2010年に常用漢字に追加された漢字です。それ以前の商品名や説明書などでは「しん」とひらがなで表記されていることがあるため、この記事では「しん」という表記を用いています。
しんの寿命の目安
- 一般的な使用の場合: 3〜5年(シーズン)が標準的な寿命
- トヨトミ社の基準: 3年から5年前後が交換の目安 トヨトミ公式サイト
灯油切れでの空焼きや、古い・不純な灯油の使用も、しんの寿命を縮める原因になります。我が家のタクードは2018年から愛用していますが、使用年数を考えれば、しんはとっくに寿命を迎えていたようです。
しん交換のサインと症状
一般的に、石油ストーブ(タクード含む)のしんの寿命や交換時期が近づくと、次のようなサインが現れると言われています。
- 火力が弱くなった
- 燃焼効率が落ち、燃費が悪くなった
- 炎の一部がオレンジ色になる
- 点火しにくくなった、すぐに着火しなくなった
- しんの上げ下げの操作が重くなった
- 燃焼中のにおいが強くなってきた
- 煤が出るようになった
- 燃焼時に炎が不揃いになる
さて、我が家のタクードですが…これらのサインをチェックしてみたところ、なんと、太字で示した項目がバッチリ当てはまっていました! 半分以上の項目が該当するなんて、かなりお疲れのサインが出ていたんですね…。






2018年から本当に頑張ってくれました。ありがとう、タクード!これからはしっかりメンテナンスして、また冬に活躍してもらおうと思います。
準備
替えしんの入手
スノーピークの『タクード』についてですが、実はトヨトミの『K-3F』というモデルをベースにしたOEM製品であることは、ご存知の方も多いかもしれません。このような背景があるため、タクードの替えしんは、トヨトミ製の適合品を選ぶことになります。
・TOYOTOMI 石油ストーブ用替えしん(第124種)
・型番:TTS-124


今回は替えしんをAmazonで購入しましたが、スノーピークから取り寄せることもできます。交換作業は自分で行うか、スノーピークに有償で依頼します。もし自分で交換する自信がない場合は、無理せずスノーピークのサービスを利用するのが良いでしょう。
作業マニュアル
タクードのしん交換についてですが、公式な交換手順を記した資料は見当たりませんでした。タクードや原型モデル(トヨトミ K-3F)の取扱説明書には構造図はあるものの、具体的な交換方法は記載されていません。


タップ・クリックで拡大
タクードとK-3F、両モデルの取扱説明書を比較すると、記載内容に共通する箇所が多く見られます。この点からも、タクードがK-3FをベースにしたOEM製品であることがうかがえます。
替えしん(TTS-124) 取扱説明書
タクードのしん交換で頼りになるのが、替えしん(TTS-124)用の取扱説明書です。これは替えしんに付属しているほか、トヨトミのウェブサイトなどから事前にダウンロードすることも可能です。『適合する機器の方式表』でタクードの原型モデルK-3Fが『②』に該当することを確認。そして、マニュアル内で『参照②』として示されている交換手順に従って作業を進めました。
- 替えしん(TTS-124):取扱説明書
購入した替えしん(TTS-124)には、紙媒体の取扱説明書が添付されています。もし作業前に内容を確認しておきたい場合は、先に触れたようにインターネットからダウンロードすることも可能ですので、そちらをご参照ください。
交換作業開始
分解
まずは、ガードを外します。2箇所ネジで止められていますので、このネジを外しガードを外します。


給油タンクと置台の間も掃除したいので、置台も外しておきます。置台止めネジを1箇所外して、油タンクを時計の反対周りに回すと簡単に取り外すことができます。


置台には3箇所固定するための、フックが付いています。


燃焼筒を外して、油タンク内に残った灯油をしっかりと、取り除きます。


次にしん調節器を外します。蝶ナットで4箇所固定されていますので、全て取り外します。


しん調節器の蝶ナット4本を取りはずしたら、しん調節器を上に持ち上げて取りはずします。灯油の匂いがキツイので、ベランダへ強制退去!




古いしんを四つ折りにするようにして、しんのガイドピン(3箇所)をしん調節器からはずし、しんを下へ引き抜いてください。


しんホルダーを変形させないように注意しましょう!


問題なく、替えしんを取り外すことができました。しんの先端は炭化して、硬くなっていました。


しん調節器、しんホルダー、油タンクに分解することができました。


組み立て
先にしん調節器にしんホルダーを取り付けます。この時、耐震自動消火装置が作動している状態ですので、しん調節器内側のみぞの穴は一番下側にあります。しん調節器内側のみぞの穴と、しんホルダーの穴を合わせてくださいね。


新しいしんを軽く四つ折りにして、しんホルダーの穴と、しん調節器のみぞの穴に、しんのガイドピンを3箇所差し込んでください。
このときも、しんホルダーを変形させないように注意してください。
しん調節器のみぞの穴にガイドピンが入りにくいです。「しん調節つまみ」を少し回しながらだと入れやすいです。


しっかりと、しんのガイドピンを3箇所を差し込みます。


しんをしん調節器の内側に指でこすりながら、充分になつかせてください。充分になつかせないと、対震自動消火装置が作動したときに、しんが下がらないことがありますので注意しましょう!


しんの下部を広げて、油タンクとしん調節器にしんをなつかせるために、前後左右に動かしながらはめ込んでください。しんのほつれや、糸が油タンク外に出ないように注意してください。


しん案内筒としん調節器の隙間が全周揃っている所で、しん調節器の蝶ナット(4箇所)で均等に締めます。一箇所のみを締め付けるのではなく、均等に徐々に締めてください。


しん調節器の上面と、しん案内筒の上面(燃焼筒ののる面)の高さが揃っていることを確かめてください。


対震自動消火装置の振り子を押して対震自動消火装置を作動させ、しんが完全に下がることを2~3回確認してください。しんが完全に下がらないときは、しんのなつかせかたが悪いためです。もう一度、しんをしん調節器の内側に指でこすりながら、充分になつかせてください。


しん交換後のチェックとして、しんを最大まで上げた際の高さを確認します。高さが約8mmで均一になっていればOKです。替えしん(TTS-124)の取扱説明書には確認用のゲージが印刷されていますが、ダウンロードして印刷したものは縮尺が不正確な場合があるため注意が必要です。正確な確認には、替えしんに同梱されている紙の取扱説明書のゲージを使用しましょう。 こちらは間違いなく8mmです。


念のため、交換前の古いしんの高さを測ってみたのですが、その高さも約8mmでした。


やはりタクードにとっても、この8mmが標準的な高さのようですね。この8mmを目安に、新しいしんの高さをしっかり調整しましょう。画像では10mmくらいありそうに見えますが、何度か合わせて概ね8mmであることを確認しています。


次に、しん上端の系のほつれ等を、はさみで取り除き、きれいに整えます。ハンドクリーナーで吸い込みながら、ほつれ等をカットしました。


完成まで、もう一息です。置台に油タンクを固定します。外すときは反時計回りでしたが、固定するときは時計回りにはめ込みます。


燃焼筒とガードを取り付けたら完成です。


燃焼テスト
灯油を入れて約20分以上、しんに灯油をなじませます。


着火
着火してから、しん全体に火が回るまでものすごくスムーズになりました。火力もアップしているように感じます。


燃焼時には、きれいな青い炎が揃っています。大成功ですね!


天板
タクードは暖房機能だけでなく、鍋料理などの煮込み調理にも適した高効率な石油こんろとしての側面も持っています。我が家でも長年、キャンプでの調理に活用してきましたが、その影響で天板の劣化がかなり目立ってきました。 この機会にリフレッシュさせようと思い、今回、交換用の天板をスノーピークに発注しました。


・タクード用天板(ブラック)
・形式:HK-002BK
見てください、このピカピカの天板! まるでタクードが新品みたいに生まれ変わりました。 長年連れ添ってきた愛着のあるキャンプギアなので、こうして綺麗になると本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。


まとめ
さて、今回のタクードのように冬の間、寒いキャンプで活躍してくれた頼もしいギアたち。次のシーズンも万全の状態で迎えるために、今のうちにしっかりとメンテナンスをして、次の出番までゆっくり休ませてあげたいと思います。
私たちファミリーキャンパーにとって、冬の寒さから家族を守ってくれるこれらのギアは、本当にかけがえのない大切な相棒です。 これからも感謝の気持ちを込めて手入れをし、末永く愛用していきたいですね。


今回は、メーカーのサービスを利用せず、自分たちの手でタクードのしん交換にチャレンジしてみました。タクードの構造を調べてみると、思ったより複雑ではなさそうだったので、『これなら自分たちでもできるかも?』と思い、自分たちでやってみることにしました。
幸い、私たちの住む地域にはスノーピークの直営店があり、持ち込めば修理などもお願いできる環境なのですが、お住まいの地域によっては、そう簡単に店舗へ持ち込めない方もいらっしゃいますよね。
それに、いざ交換しようとすると、タクードのしん交換に関する情報自体が少ない…。そんな経験から、『もしかしたら同じように自分たちでやってみたいけど情報がなくて困っている人がいるかもしれない』と思い、自分たちで交換した作業の様子を記事にまとめてみました。
この記事が、皆さんの参考になれば嬉しいです。
では、また!
- 火器の取り扱いについて:
タクードを含む火器の取り扱いには、常に細心の注意を払い、安全に十分配慮してください。 - テント内での使用について:
テント内で使用する場合は、必ずスノーピーク公式サイトや取扱説明書に記載されている注意事項を厳守してください。一酸化炭素中毒などのリスクがあります。 - 一酸化炭素中毒対策について:
使用中は、必ず一酸化炭素チェッカーを適切に設置し、こまめな換気を絶対に怠らないでください。 命に関わる重要な対策です。 - ご自身での「しん」交換について:
今回ご紹介したしん交換をご自身で行う場合、万が一取り付けに不備があると、不完全燃焼や火災などの重大な事故につながる危険性があります。作業はすべて自己責任において、十分な知識と理解のもと、慎重に行っていただくようお願いいたします。 ご不安な場合は、メーカーサービスのご利用をご検討ください。