暑い夏が過ぎ、朝晩に涼しさを感じる季節になってきました。我が家では10月ごろから、いよいよ冬キャンプの準備が始まります。冬キャンプでは、「籠(おこ)もりスタイル」や「お座敷スタイル」など、さまざまな楽しみ方がありますが、寒さ対策が重要です。
冬キャンプの醍醐味は、テント内の暖かさと外の冷たさのコントラストを味わえること。暖かいテントの中でくつろぎながら、外の冷気や静かな夜を感じる体験は、日常ではなかなか味わえない特別なひとときです。
今回は、我が家で実際に使っている道具をもとに、冬キャンプでの「暖房」についての体験談とおすすめの対策をご紹介します。
<前提> 何をしても寒い
まず最初に、冬のキャンプは「寒いものは寒い!」という現実があります。テント内で石油ストーブや薪ストーブを使っている動画や写真を見るととても快適そうに見えますが厳冬期はそう簡単にテント内は温まりません。朝晩の冷え込みが氷点下近くになるとストーブの火がついているか疑うほどの寒さを感じることもあります。
家のような暖かさを期待せず、あくまで寒さを「しのぐ」という気持ちでいることが重要ですね。
暖房器具使用時の注意点
冬キャンプで最初に思い浮かぶ暖房器具は石油ストーブかもしれません。しかし、テント内での使用には十分な注意が必要です。我が家では、念のため初期消火用のスプレーを準備しています。ただし、これはあくまで初期消火用ですので、購入の際は必ず説明書をしっかり確認してください。
どんな場合でも自己責任での準備、使用が鉄則です。
石油ストーブ
石油ストーブにはいくつかの種類があります。冬キャンプでよく使われるのは、フジカハイペットやトヨトミレインボー、アルパカ、アラジンなどです。これらのストーブの熱量は2.5kW~3.0kWです。
我が家では積載の制約があるためスノーピークの「タクード」を愛用しています。これは石油ストーブというより「石油コンロ」に分類され、熱量は2.15kWとやや小さいですがコンパクトで使いやすいです。煮炊きがメインのため、暖房効果は限定的です。
サツマイモも美味しく焼くことができますよ!
コトコトと煮込んだおでん。寒いキャンプには最高です。
- シートやマットの上、またはインナーテント内での使用は、引火のリスクがあるため危険です。
- 酸素不足による不完全燃焼にも注意が必要です。必ず換気を十分に行ってください。
- 風の影響で炎が異常に大きくなることがあるため、風の影響を受ける状況では使用を控えるのが安全です。
- 火加減の細かい調整は難しいので、湯沸かしや調理中は絶対に目を離さないようにしましょう。
ガスストーブ
我が家では、ガス缶(CB缶・OD缶)を使うガスストーブも活用しますが、石油ストーブに比べ軽量で持ち運びが楽。また、厳冬期には石油ストーブとの併用でテント内の温度を上げることができます。我が家で所有するモデルは販売終了している製品ですが、新しいモデルも販売されています。
デカ暖はその日の気温にもよりますが、CB缶1本で2時間ほど燃焼します。
ガス缶ヒーターは局所的ですが火力は十分でテント内を急速に暖めたい時に石油ストーブと併用しています。また、起床時すぐに暖を取りたい時にも重宝しています。
冬用のガス缶
冬キャンプでは冬用のガス缶が必須です。通常のガス缶は気温が10度以下になると気化しにくくなり、火力が弱まります。事前に予想最低気温を確認し適切な準備をしておきましょう。
冬用ガス缶はイソブタンの比率を高めた低温対応のボンベです。暖房用だけでなく調理用コンロの寒さ対策としても役立つため、数本携帯しておくと安心です。
CB缶やOD缶の低温時対応ボンベは各メーカーから販売されています。使用しているストーブや調理用ガスコンロ対応品を選ぶことが推奨されています。
ホットカーペット
寒い時期はホットカーペットも重宝します。使用するには電源サイトやポータブル電源が必要ですが、足元から暖かくなるのでとても快適です。3畳サイズと1.5畳サイズをその時のレイアウトにあわせて使い分けています。
こたつスタイル
ホットカーペットの上にテーブルを置いて簡易的なこたつスタイルを作ることもできます。折りたたみテーブルにこたつ布団を被せ自作の天板を置けば冬でも快適に過ごせます。子ども達はこたつから出てきません…
敷物は純正のインナーマットは使わず、下から順にキルティングラグ、ホットカーペット、ニトリの冬用ラグを敷いています。この順番で敷くと地面からの冷え込みは全く感じません。やっぱり子ども達はこたつから出てきません…
- 電源が必要となるため、電源サイトかポータブル電源が必要です。
- 低温火傷のリスクがあるため長時間同じ部位が当たらないようにする。
薪ストーブ
これは完全にロマン枠です。我が家で最初に購入したのはマウントスミのコージーです。薪ストーブの中では小型の部類ですが、約14kgとそれなりの重量があります。その重厚さのおかげで設営時の安定性が高く、二次燃焼機能により燃焼効率も優れています。さらに、煙突から出る煙や火の粉が少ないため、安心して使える薪ストーブです。
コンパクトで軽量な薪ストーブを求めて、Soomloomから販売されている手頃な価格の組み立て式薪ストーブも購入しました。巻くタイプの煙突のため組み立てには少し手間がかかりますが、コンパクトかつ軽量であることは重要なポイントです。
ステンレス製の組み立て式で軽量な薪ストーブですが、風の影響を受けないように別途対策が必要です。標準ではスパークアレスターが付属していないモデルもあるため煙突の先から火の粉が飛び、テントに穴が開かないよう別売のスパークアレスターを購入することをおすすめします。
また、薪はストーブに入るサイズに揃える必要があります。特に小型の薪ストーブを使う場合はノコギリが必須です。
残念なことにスパークアレスターを取り付けていたにもかかわらず火の粉が飛び、テントに小さな穴が開いてしまいました(泣)。対策をしても必ずしも万全とは言えないので注意が必要です。
- テントと接する煙突部分は煙突ガードなどを使ってしっかりとテントを熱から保護しましょう。
- 周囲のテントに火の粉が飛ばないよう、スパークアレスターを取り付けることが大切です。
- テントは難燃素材(コットン・ポリコットン)のものが推奨です。
- 換気を適切に行い一酸化炭素中毒に十分注意してください。
サーキュレーター
ストーブの上で熱源を利用して動くストーブファン。毎年ストーブを使う時期になると目に入ります。ただ、我が家ではストーブの上でよく調理をするので毎年購入は見送られています。夏に使うサーキュレーターでも同じ効果を得られますが、今はよりコンパクトな吊り下げ式の携帯ファンを使用しています。
暖かい空気は天井付近にたまるので天井近くで空気を循環させます。その時、この吊り下げ式携帯ファンが活躍します。USB Type-Cで充電でき、リモコン操作も可。積載に喘ぐ我が家にぴったりのアイテムです。
キャンプ用一酸化炭素チェッカー
テント内で暖房器具を使う場合は、一酸化炭素チェッカーが必須です。最初は海外製の安価なものを使っていましたが、故障や誤作動が多かったため国内製センサーを内蔵のものに切り替えました。
キャンプ帰りに炭火焼きのお店で食事をしていたらポケットに入れていた一酸化炭素チェッカーが急に鳴り出して驚きました。キャンプ中には一度も一酸化炭素を検知して鳴ったことはありません。思わぬところでしっかり動作確認ができました(笑)。
まとめ
テント内での暖房器具の使用には十分な注意が必要です。特に小さなお子さんがいる場合はうっかり接触しないようストーブガードなどで囲いをしましょう。我が家は折り畳むことができるネイチャートーンズのファイヤーテーブルをストーブガード兼テーブルとして使用しています。一酸化炭素が幕内にたまらないよう定期的に換気をすることも重要です。そして、どんなに寒くても就寝時は必ず消火をしましょう。
寒い時期のキャンプでは、家の中のような完璧な暖かさを求めず、暖房効率を高める工夫や冬用の衣類を適切に組み合わせることが重要です。その工夫も楽しむ要素の一つです。少し厳しい環境で過ごすことは日常のありがたさを子どもたちに感じさせる良い経験になります。我が家の子どもたちはコタツからなかなか出てきませんが…。
試行錯誤してきた冬キャンプの暖房事情が少しでも参考になれば幸いです。それでは、また!